松川の家
Matsukawa House

余計に思えるスペースが
暮らしを豊かにすることもあります

この家には屋根付きの広いテラスがあります。
外と内の中間に位置した半屋外スペースで、室内との段差はほぼ無く、外と中がシームレスで一体になります。
でもこのスペース、無くても生活は不自由なく成り立ちます。
ではなぜ不用とも思えるスペースをつくったのか。

人にはそれぞれ個性があります。この個性とはその人らしさのことを指していますが、住む人の能動性を喚起するような「家のつくり」が、よりその人らしい暮らしをするためのキッカケになると考えています。

この住宅であれば、それが広いテラスであり、露出した鉄骨や合板+ペンキのラフな仕上げであったりします。

テラスには薪が積み上げられ、子供たちは内外関係なく裸足で走り回り、季節によっては干し柿が吊るされるなど、日々アクティブな暮らしがあります。内部では鉄骨を活用したDIYも。

一般的な常識を前提に、そこに暮らしをあてはめるのではなく、より豊かで個性的な暮らしを実現するために、不用とも思えるスペースが大切なこともあるのです。

写真:中村晃